汎用並列分散システムでは、 効率の良い実行環境を実現するために ノード間の高速かつ 保護され仮想化されたユーザレベル通信および同期 のサポートが不可欠である。 我々はこの目的に叶う高速なユーザレベル通信同期として、 他ノードのメモリ空間内のデータを直接読み書きする ソフトウェアメモリベース通信を考案し開発している。 本稿では、100baseTXを用いたメモリベース通信のパケットフォーマット を解説し、その基本性能を性能テストプログラム とロジックアナライザによる観測で明らかにする。 そして、並列アプリケーションにメモリベース通信を利用した場合の性能 を、並列レイトレーシングを題材にプロセッサ台数や通信粒度をパラメータ として変化させることで明らかにする。 最後に、比較のために既存オペレーティングシステムのUDP/IP通信上に メモリベース通信方式で同様の性能測定を行い、 ハードウェアドライバから実現した本来の方式との性能差を調べる。