安価で高性能なワークステーションの登場とネットワークの性能向上により ワークステーショクラスタの性能が上昇して来た。コストパフォーマンス を考慮すれば、ワークステーションクラスタの性能はマルチプロセッサシステム のそれに匹敵すると考えられる。 我々は次世代の通信機構としてメモリベース通信(MBCF)を開発し、 メモリベース通信を用いる事でワークステーションクラスタ上のアプリケーション の性能を向上できる事を示したきた。メモリベース通信はユーザ権限による リモートユーザ論理空間上でのメモリ操作を可能とする通信機構である。 ソフトウェアのみによって実装されており、リモートメモリ の読み書き以外にも多くの機能を提供している。そのうちメモリベースFIFOは ユーザメモリ空間上での通信のキューイング機能を提供し、メモリベースSignal はリモートのユーザ空間上での手続き実行機能を提供する。 本論は、遠隔手続き呼び出し(RPC)のメモリベースFIFOとメモリベースSignal を用いた実装及びその性能評価について延べる。遠隔手続き呼びだしはワークステー ションクラスタにおける基本的アプリケーションであり、クライアント・サーバ アプリケーションの類型と言える。 RPC/MBFifo と RPC/MBSignal は 共に高い性能と使いよいセマンテイクスをユーザに提供する。 測定された RPC/MBFifo RPC/MBSignal のラウンドリップレイテンシは UDP や TCP を用いたRPCの半分以下である。