NUMA型並列計算機システムやワークステーションクラスタといった 並列・分散計算機環境における、複数の並列アプリケーションの効果的な多重実行を 実現する、汎用並列OSの研究を行なう。 汎用並列・分散環境では、OSのスケジューリング方法が並列アプリケーションの 有効性に大きく影響する。 多重並列環境では、スケジューリングをユーザレベルとカーネルレベルに 分離することが考えられる。 これにより、プロセスの並列性を損なわない資源の割り当てを行ない、 ユーザレベルのスケジューリング制約情報を利用することで、 汎用並列OSの構築が可能となる。 本論文では、プロセス毎のメモリの使用状況及びシステム構成の階層性を利用する カーネルスケジューリング法を提案する。 さらに、モデルを用いたシミュレーションによりその評価及び、他のスケジューリング法 との比較を行なう。 プロセス毎のメモリの使用状況をOS核のスケジューリングに反映させることにより、 メモリアクセスのコストが不均一なシステムにおけるプロセスの マイグレイションを効果的に行い、性能を上げることができる。 さらにカーネルは、システム自体の階層構造を利用することで、 各プロセスの通信やメモリのアクセスコストに関する制約を スケジューリングに導入することができる。