タイムシェアリングシステムの従来のスケジューリングはプロセッサの占有 時間による公平性の調節と入出力装置との同期によって主に決定されてい た。しかし、近年ネットワークの発展とそれに伴う分散協調処理の実用化や マルチメディア処理の進歩により、プロセッサの計算負荷以上にネットワー クの通信や外部入出力が重要となるアプリケーションが増加している。これ らのアプリケーション間では、プロセッサの占有時間のみで公平性を判断し ても良いスケジューリングは行えない。つまり、従来のスケジューリング方式は時代 遅れとなっており、分散並列処理やマルチメディア処理に適した新しいスケ ジューリング(資源割り当て)方式を研究開発する必要がある。 本稿では、ワークステーションクラスタ等の分散資源環境に適合する 「自由市場原理に基づくスケジューリング方式」と呼ぶ新しい方式を提案する。 この方式ではシステム提供のグローバルスケジューラは不要であり、 動的最適化の決断はアプリケーションに任される。一方、 マイグレーションによる負荷分散や資源使用要求の抑制によ る過度の資源競合の緩和といった最適化を自律的に行うことが奨励されるよ うにノード内のスケジューラが構成される。