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用語の説明

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スケーラブル(scalable)
1 台のコンピュータまたは 1 個の CPU が処理できる能力以上の性能を 出すために複数のコンピュータまたは CPU を組み合わせてシステム またはマシンを構成します(分散並列処理システム)。 この分散並列処理システムにおいて、要求される性能に応じて、その 構成台数/個数を増減することにシステムが対応できることを指します。 構成台数/個数を増減する都度ソフトウェアを書き直す必要があるものと、 SSS-CORE のように再コンパイルまたは 簡易な設定変更だけで可能なものがあります。
ワークステーションクラスタ(workstation cluster)
高速ネットワークで複数台のワークステーションを結合したシステム、 NOW (Network of Workstations)と呼ぶ場合もあります。 サーバで構成するサーバ機クラスタ、パーソナルコンピュータで構成する PC クラスタ等も同じ仲間です。
SSS-CORE」の名前の 由来
SSS-CORE プロジェクトの雑用係兼チーフ アーキテクト兼チーフプログラマの松本尚が 1989 年に考案した、 マルチタスク環境においても効率を落とすことなく共有メモリ上に 実現される同期方式を Snoopy Spin wait (SS-wait) と呼びます。 当時、SS-wait をサポートするために共有メモリ型並列計算機上で 開発していたオペレーティングシステムが SS-CORE と 呼ばれていました。 今回のオペレーティングシステムは、対象計算機を共有メモリ型から スケーラビリティの高い(台数拡張が容易な) ワークステーションクラスタや分散メモリ型並列 計算機にまで範囲を広げたものであるため、「Scalable SS-CORE = スリー・エス・コア」と 呼んでいます。
イーサネット/ファーストイーサネット(Ethernet / Fast Ethernet)
イーサネットは Xerox 社が 開発した通信技術で、LAN (ローカルエリアネットワーク)で広く使われて います。 標準のイーサネットの転送速度 10 Mbps (1 秒間に 1 千万ビット)に 対し、100 Mbps のものをファーストイーサネットと呼びます。 既にそれより早いギガビット(1 秒間に 10 億ビット)クラスのイーサネット 技術も開発されています。
TCP/IP (Transmission Control Protocol / Internet Protocol)
アメリカ国防省が開発したインターネット用の通信プロトコル(通信 手順)で、現在 LAN およびインターネットにおいて事実上の標準と なっています。 TCPIP は別の プロトコルですが、ペアで使われることが多いため、TCP/IP と呼ばれます。
IPsec
IPsec は 事実上の通信標準プロトコル(手順)である IP プロトコルに 基づく通信の安全性を高めるためのプロトコルです。 TCP/IP や UDP/IP も IP プロトコルに基づく 通信プロトコルですので、IPsec プロトコルの適用によって安全性を 高めることができます。 高安全性を確保するために、IPsec では通信内容の暗号化と認証を サポートしています。 暗号化は通信途中で通信を傍受されても特定の通信相手以外から通信内容を 秘匿する機能であり、認証は転送途中で通信内容が改竄されたことを 検出するためのものです。 これらの機能を複数回適用したり、組み合わせたりすることにより、 通信相手の認証や、無記名投票を行うことも可能になります。 IPsec と同様の目的で使用される物に SSL がありますが、 SSL はアプリケーション内にユーザプログラムの一部として実現されており、 IPsec はシステム内の通信プログラムおよび通信ハードウェアの一部として 実装されています。 システム内における実装の方が他の通信プログラムやハードウェアと 密に協調できるため、高速実装実現の可能性が高くなります。
ノード(node)
複数のコンピュータをネットワークで結合した分散処理システムおよび 並列処理システムにおいて、その構成員である 1 台のコンピュータの ことをノードと呼びます。 集中管理システムでは、1 台のホストコンピュータがシステム全体を 管理していましたが、分散並列処理システムでは、各ノードが協調して システムの管理を行います。
遠隔メモリ操作(Remote Memory Access)
複数のコンピュータで並列処理を行う場合、自分のコンピュータ上の メモリだけでなく、他のコンピュータ(ノード)上の メモリを読み書きできると非常にプログラムが書き易くなります。 他のノードのメモリを操作することを遠隔メモリ操作と呼びます。 遠隔メモリ操作はハードウェアで提供されるものと、ソフトウェアで 提供されるものがあります。 SSS-CORE は特殊なハードウェアを使わない 方針のため、MBCF としてソフトウェアに よってこの機能を提供します。
キャッシュ(cache)
キャッシュとは、コストの掛かる記憶装置(遅いメモリやディスク等)の データアクセス時間を短縮してコンピュータの実効速度を上げる機構です。 一度読み込んだデータをアクセス時間の短いメモリに格納しておき、 アクセスしようとしたデータがキャッシュ上にある場合は、本来の 装置をアクセスすることなしにキャッシュ上のデータを使用する方式です。 分散並列システムでは遠隔メモリアクセスに対して、 キャッシュを行って自分のノードにデータを 置いておけば、実効速度の大幅な向上が図れます。 ただし、キャッシュに使用されるメモリには容量の限界があるため、 全てのデータのコピーを手元に保持できるわけではありません。 また、キャッシュ上にコピーが作られているデータが変更された場合には、 コピーのデータを変更(もしくは無効化)しなくてはいけません。 キャッシュ読み出しミス(cache read miss)とはアクセスしようとした 時に当該データが手元のキャッシュ領域にないことを指します。
マイグレーション(migration)
migration は「移送」という意味の英単語であり、ある ノード(マシン)において実行中のタスク(プロセス)を 他のノードに移送して実行を続けさせることをタスクマイグレーション (プロセスマイグレーション)と呼びます。 マイグレーションが可能となると負荷が重い(混んでいる)ノードから タスクを負荷の軽いノードに移動させることにより、システム全体の 負荷分散が可能になります。 しかし、Windows や UNIX の通信同期用システムコールは同一ノードにおいて実行し続けることを 前提に設計実装されているため、「完全な」マイグレーションが非常に 困難です。 SSS-CORE では、ノード内であるかノード間であるかを 問わずに、仮想化された通信同期機構である MBCF を使ってタスク間通信同期を 実現しているため、「完全な」マイグレーションが可能となります。 ここで「完全な」マイグレーションとはマイグレーションした後に 移送前にタスクが存在したノードの電源を停止してもタスクの実行が 継続できることを意味します。 SSS-CORE はこのマイグレーション機能により アプリケーションを動作させたままで、ノード(マシン)を停止させたり、 アプリケーションの実行能力の増強を行うことができます。
マスコット「マネキッコ」
マネキッコは LinuxペンギンキャラBSD UNIX悪魔君キャラの ように OS のイメージキャラクタとして作られました。 日本的な「まねき猫」をモチーフとするアイデアは 理化学研究所さきがけ 21 の佐藤寛子さんから いただき、絵のデザインは 多摩美術大学の楠房子先生の 指導の下で学生の梅澤美希さんに行っていただきました。

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